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2009年 08月 09日
クマヤナギの豊作
 前回、7月17日の記事ではクワの実がそろそろ終ると書いたのですが、その後2週間、残り少なくなった実を求めて、離山の北側や東側を中心に活発に動くようになりました。一カ所では満足しきれないのか、他のエサが長雨のせいで実らないためか、動きが激しく、分派行動も目立っています。
 例年ですと、この時期にはヤマユリやウバユリの蕾の雄しべを食べたり、ツノハシバミの若い実を食べるのですが、今年はクワの実が豊作だったためか、あちらこちらで久しぶりにユリの花を楽しめたという声を聞きます。これまでは家庭菜園の被害もひじょうに少ないようです。8月の10日前後には、トウモロコシや枝豆をねらって畑に侵入するようになりますので、これからが被害防止の本番になります。

 軽井沢特有の被害として別荘侵入がありますが、これはすでに頻発していて、モモなどがとられています。別荘客の中には、追い払いを拒否したり、サルにエサをやったり、野鳥に大量の給餌をするためにサルが寄ってきたりというのも、この時期に多くなります。別荘の被害は捕捉できない事が多いのですが、アンテナや雨樋の破損はかなりの数に上るでしょう。広報活動や現場での放送など、きめ細かい対応が要求されるだけでなく、都会からやってくる人たちに対し野生動物対策の基本的な理念や方針を説明できるかどうか、自分がためされることの多い季節でもあります。

 梅雨が長引いて、日照不足や低温の影響が動植物や畑に出ています。6月の初め頃から異常を感じてはいたのですが、この夏のような天候は16年前の1993年にもありました。93年は最後まで梅雨があけず、そのまま秋雨前線になってしまいました。93年同様北西の大陸からの不安定な気流が日本列島にむかってきていますが、オホーツク海に強い高気圧ができていないのは、93年と違うところでしょうか。93年当時の軽井沢のサルの行動記録は残っていないでしょうから、較べようがありません。自然現象の変化を記録していく事の重要性を痛感します。

 8月に入って、高い木の上で何かを食べている事が多くなりました。アオムシやシャクトリムシでも食べているのかと思っていましたが、つる性植物のクマヤナギの実を食べているようです。クワの実のようにどこにでもあるというわけにはいきませんが、あるところでは実のつきがよく、すでに黒く熟しているのが見られます。 
(写真をクリックしますと拡大されます)
 クマヤナギの豊作_e0005362_21375227.jpg
 過去の記録でも、8月10日頃には食べていますので、長雨の影響はないのかもしれませんが、実が熟し始めている時期に平行して、花が咲き始めているのは不思議な気がします。ミズナラ・コナラはまだ実がついているのを見ていません。クリは日当りの良いところで小さなイガをつけていますが、これからの様子を見なければ実るかどうかはわかりません。ウワミズザクラの実は少なく、オニグルミの実はかなり多いのですが、どんどん落ちています。

 7月末ごろから湯川の西側、千ヶ滝西区を利用する事が多くなり、その度ごとに中軽西や古宿の畑や家庭菜園の方に南下しないよう、追い立てを強めています。これからしばらくが、野菜の被害の多発する時期でもあり、別荘客や観光客で込み合う時期と重なって、対策側にとってきつい季節になります。     (文責 寺山 光廣)

8月11日 追記
 クマヤナギの実が熟しているのと平行して花が咲いている事を、「不思議な気がします」と書きましたが、サル追いの現場で役場のメンバーから、クマヤナギの実は翌年になって熟す、という話を聞きました。ブログの記事を書く前に、一応「牧野の植物図鑑」と保育社の「樹木図鑑」を見たのですが、その点についてはどちらの図鑑にも指摘はありませんでした。花は夏に咲くと書かれているので、その時点で不思議に思わなければいけなかったのでしょう。インターネットでクマヤナギを検索しますと、すぐにその記述が出てきました。実は越年して、次の年の花が咲く1ヶ月位前に黒く熟すようです。30年前の手法だけに頼ったことの危険性とともに、間違いを指摘してもらえる事はとてもありがたいことと感じました。   寺山 光廣

by k-saru-net | 2009-08-09 21:38 | サル追いノート


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