2006年 03月 22日
3月16日午後、約20名の旧軽井沢住民によるサルの群れに対する追い払いが自主的に行われました。現場でサルの位置情報を伝える等の形で協力した立場から、当日の様子と前日・翌日の群れの動きを報告をします。 旧軽井沢の方々が追い払いを実行するに到る背景には、前回の報告で書きましたように、この冬の間、軽井沢のニホンザル(K群)の遊動域が以前に比べると半分以下に狭まり、とりわけ旧軽井沢地区を遊動することが多くなっていたことがあると思われます。商業地域である旧軽地区にとって、春の観光シーズンを控えて、早い時期に対策が必要でした。 [ 経過報告 ] 地図上の青い線は3/15、紫の線は3/16の群れの移動ルート。 3月14日夕方、A点から西300mあたりにいた群れが東、旧軽井沢ロータリー方向に移動していたため、出来れば旧軽中心部への侵入を止めたかったので、監視隊1名とともに二人で、A点西の道路で阻止しようとしました。泊まり場に向かう時間帯では、移動方向の転換はかなり困難なので、結果的には阻止線を突破されましたが、旧軽ロータリー付近には達することなく、A点周囲に泊まったようです。 15日7:00、住民1名と2人で、A点から群れを西へ追っていると、現場にきた旧軽の監視隊員から、午後1時から旧軽住民による追い払いが行われるとの情報がありました。計画では旧軽から東南へ三度山方向に追いたいということでした。前もって知らされていれば反対方向に追ったのですが、その時点ではすでに群れはB点(鹿島の森ホテル)に移動していました。 13:00,群れはB点から旧ゴルフ内に入り、西へ散開しながら少しずつ北上していて、当番の監視隊等とゴルフ場北側の別荘地に達するのを待っていましたが、群れはC点付近でゴルフ場職員に追われているようでした。その後、C点の東に出てくるかとも思い東へ回り込みましたが、1時過ぎに犬1頭をつれてゴルフ場内に入った旧軽の方々に追われて、群れはB点に逆戻りしていたようです。 B点でゴルフ場のネットにサルが1頭引っかかるというハプニングがあり、大勢の住民にモデルガンで追われた群れはG点方向へ逃げ、さらに追われてD点(一本松)で停滞します。3時頃、D点にはハナコ・マロンの両信号音が入りましたが、見る限りサルの頭数は少なく、西に反転するサルも見られ、追い払い部隊はG点に戻り、さらにB点に戻ると南西の斜面上にかなり散開しているようでした。F点南側から回り込んで追い払いをかけたところ、一部が東に下り川を渡ってF点三叉路の北東200mの別荘地に約20頭停滞しました。 5時前に住民による追い払いは終了しましたが、翌朝の動きから考えると群れの半分ほどはF点周辺に泊まったようです。D点方向に移動したハナコ・マロンを含むグループは3時以降、さらに東へ進み、旧軽銀座通り北端から大塚山南・旧軽テニスコートを経て、5時過ぎE点に達し泊まったようです。 翌16日7:00、E点に泊まったグループはいくらか西に移動し、先頭は旧軽銀座通り南端で商店の屋根で朝日を浴びながら静かに停滞していました。爆竹・ロケット花火で追い払いをかけたのですが、ほとんど動かず、小ザルだけが動き回っていました。 8:00、B点にまわると、三叉路西の道を南側から横断し、続々旧ゴルフ場内をかすめて北東へ向かうグループを見つけ、後を追いました。子連れの母ザルが多く、大きな声で鳴き交わしながらかなりの速度で移動していきます。(紫の線)その様子から、群れの残り半分を探していると思われたので、北東の一本松方向へ向かうグループの先に回り込み、G点で北側から爆竹とパチンコで押し、移動方向を旧軽ロータリーに向けました。その後はグループの後ろからロータリー西200まで押して、ロータリーにまわってみましたら、東にいたグループが気づいたらしく西へ移動を始め、ロータリー西の町営駐車場付近で2つのグループは合流したようでした。合流後は南へ移動。昼頃にはロータリー南西700mあたりの離山線両側に散開していました。 結果的には旧軽地区からの追い出しは出来なかったのですが、地域住民が自主的・組織的に追い払いを実施した意味は充分あったと思われます。押入にしまい込んでいたモデルガンを取りだし、群れに向かっていったこと。まずは自分たちで自分たちの地域から追い払うのが対策の第一歩であることはまちがいないでしょう。旧軽地区は三方を山に囲まれ、南(新軽井沢方向)と南西(離山地区)への移動をブロックしさえすれば、あとはともかく繁華街から追い出していけばいいという環境ですので、根気よくガンガン追い立てればいいでしょう。 夕方、泊まり場へ向かう時間帯になると群れの移動意志が強固に固まるようですので、繁華街から一定方向へ移動させたい時は早めに、出来れば朝一番に追い上げを始めるのが効果的と思われます。これからの季節、活動開始時刻が早まりますので、追い払い部隊も日の出頃から1〜2時間、出勤前・商店の開店前に追い払うのがよさそうです。早朝なら少人数でも効果的な追い払いが出来ることが多いので、たまに大勢でやるより、前日の泊まり場が地区内にあるときは毎朝追い払いをかけるとよいでしょう。 旧軽地区は独自に広報車を出して、地域住民に注意を呼びかけていますが、他の地区で追い払いを行う時は何らかの広報手段が必要でしょう。また、例えば離山地区であれば線路南への移動はブロックしなければかえって被害が広がるなど、地区によって作戦を立てる必要があります。事前に監視隊などとの打ち合わせと、追い払いメンバー内の意志統一が大切でしょう。 今回の試みが今後、地域住民による日常的な追い払いにつながっていく事を期待しています。
by k-saru-net
| 2006-03-22 23:21
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広く豊かな自然がありながら、市街地や農地を荒し回る軽井沢のニホンザル。人間とサルの望ましい関係を、観察と対策の実践の中から模索する人々のネットワークをめざしています。 by k-saru-net カテゴリ
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