2006年 03月 28日
この冬は群れの移動範囲が狭くなっている事は以前報告しましたが、3月に入ってからさらに群れの動きは少なくなり、離山地区・旧軽井沢地区・新軽井沢地区に限られています。本来の遊動域の4分の1の面積で、市街地の割合が特に高い地域です。なお、このレポートを書いている時、24日ぶりに群れは西へ移動し3/27早朝は中軽地区中央公民館の北西をさらに北西に移動中です。 群れの求心力が弱くなっている? 前回、3月15日に行われた旧軽井沢地区住民による群れの追い払いについて報告しました。その後の群れの動向ですが、何度か分派行動が見られ、群れの求心力が一時的に弱くなった可能性があります。大がかりな追い払いの前後は群れの様子を早朝から注意深く観察し、異常な行動に対してはすばやく対処出来る備えが必要です。 3/18日夜は警察署周辺に泊まっていた群れが、19日朝は特に変わった様子もなく500mほど西へ移動しました。19日の夕方16:50頃、国道18号を東へ向かうと、中学校東でマロンの信号音がはいり、離山線へ左折し離山集落を過ぎ、高校の手前のマンション付近で群れを見つけました。マロンの信号音は消え、ハナコの音が入り、離山線を南に渡ってマンションの芝生でエサ拾いをする20頭ほど、公民館分館周辺や離山線北側のホテル内などに散開している様子が見られました。赤ん坊連れや若いサルもいて、しばらく北側へ追っていましたが、動く様子がなく、そのまま高校の西北の林に泊まりそうなので、17:15頃18号を西に戻りました。 中学校付近でやはりマロンの信号音が入るので、中学の裏にまわると、10頭ぐらいのグループがかなり速い速度で北西に進んでいて、甲山地区に入りそのまま中央公民館裏のペンションまで一気に達しました。 群れからはぐれたという感じではなく、強い意志を感じる進み方でした。ペンションと城南信用金庫の間の林でしばらくエサ探しをしたあと、北側の林に入ったようでした。カウント出来た最大頭数はマロンを含む9頭、中型から小型のアダルトで、小ザルや赤ん坊は見かけませんでした。 後で監視隊の当番に聞いたところでは、昼間からマロンは図書館方向へ移動していたそうです。泊まった位置と群れ本隊の距離は約1.5キロ。微妙な距離ですが、両グループの翌日の行動が要注意ですので、翌朝は早めに現地に行きました。昨夜、中央公民館裏に泊まったマロンを含む約9頭を6:00からパチンコ、ロケット花火、爆竹などで東へ追い、沓掛学荘、中学校裏、雨宮池上へと追い続け、7:00図書館上を通過し、7:40離山地区の山側にでたもよう。本隊と合流すると思われましたが、途中、ペンションのエサ台に執着し何度か逆戻りがありました。離山地区に泊まった群れ本隊の一部が、7:25頃軽井沢高校西の歩道橋で線路をを渡りましたが、7〜8頭渡ったところで気づき、追い返しました。 3月21日、朝6:40に警察署付近に到着すると、歩道橋を渡る10頭ほどが見え、東の陸橋を越えて南側に回り込む。南側には既に相当数が散らばっている模様でしたが、まだ続々歩道橋を渡ってくるので、とりあえず日大寮側の階段付近と歩道橋上の十数頭を警察署横へ追い返す。その後、群れの散らばり具合を見て回ると、西へ500m以上進んでいるのが確認されたが、歩道橋からあまり離れると再び渡って来そうなので、200m以内に群れていた20頭ほどの赤ん坊連れのグループを歩道橋側に追い、さらに歩道橋を渡らせて北へ追い戻す。その後は遠くに散っている5〜6頭ずつの4グループを順次追い戻し、警察署側のすべて戻したのが7:45。ちょうど1時間かかりました。 23日午後、群れのほとんどが旧軽公民館北東の矢ヶ崎川付近にいるとき、オスザルと思われる何頭かがロータリー西にいました。 15日の集団追い払い以降、群が不連続に分かれたケースを比較してみます。16日については分派行動と言うより人為的分断です。 3/16 *旧ゴルフ三叉路(オス・メス・子供・赤ん坊・グリーン) *ロータリー東(オス・メス・子供・マロン・ハナコ) 距離約1.2km。 旧ゴルフグループが呼び声を発しながら移動。 方向をコントロール後、ロータリー西で合流。 3/18 *ロータリー南に半分 *NTT付近に半分 距離約500m 3/19、20 *離山地区(大多数・ハナコ・グリーン) *中央公民館北(オス・メス・マロン 9頭以上) 距離約1.5km 20日早朝マロングループを東へ追い、離山地区北で合流。 〜19、20日ともに移動中の鳴き声はない。〜 3/21 *南が丘(オス・メス・子供・赤ん坊・ハナコ・グリーン・約50頭) *警察署東(オス・メス・子供・マロン) 最大距離約800m。 線路南へ侵入したグループは南西方向に進むが、マロングループは移動 の気配なし。 3/23 *旧軽公民館北(群れのほとんど・マロン・ハナコ・グリーン) *ロータリー西(オス?3頭以上) 最大距離約700m このところ群れの求心力が弱いように感じます。それが15日の集団追い払いと関係があるのか、あるいは交尾期が終わって季節的なものなのかは判りませんが、大がかりな追い上げなどの後、1週間ぐらいは分裂や思わぬ方向への移動に注意し、阻止出来る態勢が必要と思われます。 今後の追い払い態勢について 夕方、泊まり場に向かう頃の群れの動きには強い意志が感じられ、なかなか思うようにコントロール出来ません。線路南のように、いて欲しくないエリアに群れが入ったままで夕方を迎えると、追い返すのは困難になりそうです。国道・しなの鉄道・新幹線が平行していて、その上を歩道橋で渡るという状況は彼らにとって明らかに一定の精神的障壁であるため、線路を越えて深く南に侵入し、そこで泊まることになれば、戻らずに南側への定着もありえます。21日も、群れの半分は南側に入っていましたが、マロンを含む子連れの数十頭のグループは警察東側のモミ林にとどまって、南へ移動する気配を見せませんでした。場合によっては、線路の南北に群れが分裂し、遊動域が拡大する事も考えられます。 群れがいてはいけないエリアに入り込むのは早朝が多く、また早朝は群れをコントロールし一定方向に移動させやすいので、早朝の追い払い態勢が必要です。昼間が短い冬の3ヶ月をのぞいて、野生動物監視隊の当番出動を「日の出から8時間」と「日没8時間前から日没まで」の、早番・遅番の2部制にすること。これからの季節は夕方5時以降に早足で1キロほど移動することもあります。遅番の当番は日没時に泊まり場を確認し、翌朝の早番に伝え、必要があれば周辺住民やボランティアに連絡し、翌朝の追い払い協力を仰ぐ。先日の旧軽地区住民の自主的追い払いの様な取り組みを有効にいかし指揮することが監視隊に求められるでしょう。 各地でサル対策に取り組んでいる官民様々な運動は、インターネットを利用した情報交換や意見交換を活発に始めています。軽井沢では監視隊が毎日群れにはりついて観察と追い払いを行っていますが、そこで得られた情報や経験が充分地域住民や関係者にさえ伝わっていないのが現状です。早急に監視隊自身でインターネットによる情報発信と、全国各地の取り組みとの交流をはかるべきです。毎日その日の群れの行動を簡単にまとめて、監視隊員相互・行政・住民組織その他の関係者の携帯にメール通信を入れ、日常的追い払い態勢のリーダーになることを監視隊に提案したいと思います。現在、電話やファックスで連絡しているようですが、大勢の人にすばやく情報を送り状況を連続的に把握する事と情報や意見交換の双方向性のためには、インターネットの利用が不可欠です。 サル問題に限らずイノシシやシカなど、これから野生鳥獣問題は町内でもますます大きくなっていくでしょう。対策側の組織力・機動力・技術・情報能力など、対策の実践をとおして高めていかなければならないところに来ています。 ***************************************** 3月に入ってからの、「サル追い日誌」を掲載します。 ( )内の位置情報は野生動物監視隊の報告によります。 3/1 朝 せせらぎの里バス停東。東へ追っていると、赤い大型犬がでてい来て群れを 樹上に追い上げる。 夕 国道146号、スケートセンター入口三叉路付近で信号音。 3/2 朝 三叉路から東へ追う。星野温泉入り口を東へ移動。ピッキオによるカウン ト。 夕 軽井沢病院医師住宅付近で信号音。 3/3 朝 社会体育館駐車場。赤ん坊の保育園状態。メスの日向ぼっこ。 夕 (東部小北300m) 3/4 朝 東部小南・西から離山線の北200へ追い払い。 夕 (一本松周辺) 3/5 朝 旧軽銀座通り南半分・ロータリーから町営駐車場にかけて散開。 夕 (一本松周辺) 3/6 朝 旧軽 神宮寺周辺から西へ400mほど追う。声とパチンコ。 夕 (一本松南200m) 3/7 朝 旧軽ロータリーから静山荘にかけて 夕 (一本松周辺) 18号碓氷バイパス横川から1/3付近でレベッカの信号音。 3/8 朝 一本松周辺と三笠通り両側 ゴルフ橋間。ハナコが一昨年の子供と毛繕い 夕 旧軽 諏訪神社周辺。テニスコートから矢ヶ崎川の間。監視隊とU群につ いての情報交換。 3/9 朝 旧軽 諏訪神社から大塚山南。ドングリを食べる。旧18号沿い坂本までは サルは見つからず、信号音もなし。碓氷バイパスで、横川から1/3、入山峠 から2/3の地点(C12)付近でレベッカの信号音。 夕 (東部小北200m) 3/10 朝 六本辻南東。東雲交差点から神宮寺霊園にかけて。 夕 新軽井沢 サイプレスホテル周辺。新軽井沢交差点と新軽井沢西交差点の間 の国道北側。 3/11 朝 東部小南のニコスグラウンド内、草原で採食。 夕 (東部小北100m) 3/12 朝 東部小西側の住宅街から、監視隊1名と離山線北のアローグラウンドへ400 m追う。 夕 (一本松東200m) 3/13 朝 旧軽町営駐車場付近に5〜6頭、ハナコの信号音。他は不明。 夕 (一本松周辺) 3/14 朝 一本松東側の別荘地斜面上。 夕 旧軽ロータリー西400m。西へ追うが、ロータリー方向へ行きたがる。東へ 100mほどで泊まる。 3/15 朝 旧軽ロータリー西400m。昨夕の場所から西へ追い、鹿島の森ホテルへ。 午後 旧軽地区住民による追い払い 夕 マロン・ハナコを含む半分は旧軽公民館へ、残り半分は鹿島の森ホテル西。 3/16 朝 鹿島の森ホテル西のグループをロータリー方向へ誘導、合流させる。 午後 離山線のロータリー・六本辻間。 夕 (東部小東200m)翌朝の様子から、もう少し東で泊まったもよう。 3/17 朝 東雲交差点南西400m。南の住宅街へ出た10頭ほどを爆竹・ロケット花火 で追う。3信号音。 夕 (旧軽児童館南200m) 3/18 朝 ロータリー南200付近に一群、西へ追う。新軽方向NTT付近に一群、西 離山線まで追う。 夕 (軽高東200m) 3/19 朝 警察署と離山線の間。警察東の陸橋北詰のモミ林から追う。 夕 ほとんどが離山のマンション周辺。マロンを含む9〜頭が中学校裏から中央 公民館裏へ。 3/20 朝 中央公民館裏のマロングループを東へ誘導。図書館上から離山北側へ。高 校付近の本隊一部7〜8頭が歩道橋を南へ渡るのを追い返す。 夕 (軽高東200m) 3/21 朝 群れの半分以上が線路南の日大寮から西へ600mほど侵入。6派に分けて 北側へ追い戻す。 夕 (東部小東400m、) 3/22 朝 前夜の泊まりは東雲交差点西側。西側の住宅地から東へ追う。 夕 (旧軽児童館周辺) 3/23 朝 旧軽郵便局周辺から移動せず。 午後 ロータリー北に数頭。残りは旧軽公民館東の矢ヶ崎川周辺。群馬のドッグス クールが訓練中の犬3頭。 夕 (旧軽児童館東300m) 3/24 朝 旧軽銀座通りの北半分。監視隊1名とテニスコート側から神宮寺の西側へ 追い払う。 3/25 朝 旧軽ロータリー南300mから西へ、精進場川西へ追い払う。 夕 警察署周辺から軽高西にかけて 3/26 朝 警察署東の陸橋・コンビニから追い払い。警察署裏から動かない。イチイ の枝先を食べている様子。 夕 軽井沢病院北東。城南信用金庫寮内。3信号音共に受信。 3/27 朝 中央公民館裏から北西に移動。長倉講演北側から追い払い。公民館と石山 の間をさらに北西へ移動中。 午後 中軽井沢地区北端の千ヶ滝通り(146号)西側から鳥ヶ坂にかけて 夕 (せきれい橋南300m) *****************************************
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| 2006-03-28 08:16
| サル追いノート
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広く豊かな自然がありながら、市街地や農地を荒し回る軽井沢のニホンザル。人間とサルの望ましい関係を、観察と対策の実践の中から模索する人々のネットワークをめざしています。 by k-saru-net カテゴリ
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