2006年 04月 06日
3/15、旧軽井沢住民による集団追い払いに引き続き、3月28日朝から野生動物監視隊と町役場職員他の総勢20人以上による群れの追い上げが実施されました。主催した監視隊からの報告が待たれますが、とりあえず追い上げに参加した一人として、経過・その後1週間の様子・個人的総括などを報告します。 上の地図上で青い線は3/28のサルの動き、緑の線は私の動き(旧軽繁華街は省略)、赤紫の線は翌29日のサルの動きです。 [ 3/28 経過 ] 前日の27日、群れは湯川を西へ渡り、中軽井沢地区北端から南西方向の鳥ヶ坂に先頭が達した時点で反転し、再び湯川を渡り東側のA点南200m付近に泊まりました。28日は朝早くからA点(石山)付近の草原や斜面で採食(草の実と思われる)。 追い上げ部隊は、8:30町役場裏に集合。A点に向かい、9時頃からA点の南に残る十数頭のサルを北へ追い、群れが石山下の道路の北側斜面に上がったところで一斉に北へ追い上げ開始。直接群れを追い上げる部隊の他、私を含め5人ほどが群れの南側で、離山方向へ行こうとするサルを牽制にまわり、離山用水沿い、長倉霊園上と数匹のサルを北へ追い戻しながら 進みました。A点とB点の中間付近で、群れの発信器の信号音が入らなくなり、かなり離れたところを通過していると思われたので、役場に置いた車に戻り、以後は車で位置確認作業を続けました。 10:00、B点で東へ向かう一群(十数頭・赤ん坊連れ)を見つけ、周囲を見回りましたが、群れを追っているはずの監視隊は到着しておらず、群れの本隊からは遅れている模様。その後、群れの後続はないため、その一群は群れの後尾と思われたので、先へ進み三笠パークの最上部C点に着いたのが10:20.既に群れの先頭はC点に達していて、監視隊へ携帯で位置の連絡を入れる。しばらく監視隊の到着を待つが、群れが移動しているので先へ進み、10:40三笠パーク17番で群れの先頭をとらえる。群れはそこで停滞し採食。再び監視隊に電話を入れ、群れの後続もそろって、その後20分ほど経って監視隊到着。全員集まったところで作戦会議。D点から北へ追い上げたいという事になったところで、群れは既に下り始めていて、南の旧ゴルフ方向へ下るのを阻止するのが精一杯。群れは一気に東へ下り三笠通りを渡り愛宕山南麓へ向かう。 E点(アカデミーヒルズ)付近で群れが停滞している間に追い払い部隊は昼食。その後、群れが旧軽銀座方向へ出ないように、南と東の一本松からパウロ教会通りに人員を配置した上で、群れの追い上げを開始する。出来れば群れを愛宕山山麓を巻いて東の矢ヶ崎川上流方向へ誘導したいところで、旧軽地区内での私の動きは地図には記入しませんでしたが、地図上右端の二手橋から矢ヶ崎川東岸を上流まで電波受信しながらたどると、群れの一部はかなり近くまで達していました。E点から東南に進んだ群れの一部は、旧軽銀座北端のつるや旅館付近に出て、追い払い部隊に追い返され、小尾根を南に下ったグループは一本松付近に現れ押し戻されますが、数頭三笠通りにちょろちょろ出てきました。E点から南西に下る動きもあり、数時間攻防が繰り返され、群れが散らばったまま動きが悪く、旧軽の繁華街からは排除出来ていることで、夕方には追い上げを終了しました。昼過ぎからの雨は夕方には上がりましたが、愛宕山山麓は東西の道がなく、群れの位置確認や追い上げには動きにくいところでした。 一本松で解散後、しばらく位置確認に廻りましたが、多くがE点周辺にいて、マロンを含む一部がF点付近、その他あちらこちらに散っている様でしたが、目視出来るのはありませんでした。 [ 3/29 翌朝以降の動き ] 翌早朝、赤ん坊・小ザルを含む群れの多数がG点に集結していましたが、E点では東から群れに合流しようとする赤ん坊連れの10頭ほどのグループがH点方向から通過していきました。I点(パウロ教会付近)には親子ザル4組とマロンを含む15頭弱のグループが神宮寺裏からゴルフ橋西にかけて動いていて、本隊に合流する気配もなく、精進場川の西へ行こうとするので、東へ押し戻し、教会北からJ点(一本松東)へ追い上げる。そこでもまだ群れ本隊との距離は500mだが、間に小尾根があり、一人ではそれ以上北への追い上げは困難でした。その後、群れ本隊の方が旧軽銀座方向に移動した際に吸収されたようです。マロンを含むグループは、前述のH点から西へ向かったグループと較べると、群れ本隊を探している様子は感じられませんでした。その後、群れは銀座通りを渡り、K点(テニスコート・諏訪神社)を経て、南西に進んだようです。 3/30 午前中は南下し東雲交差点西側、夕方国道18号駅前バイパス分岐点(新軽井沢 西三叉路)付近で、一部は旧警察署側に渡る。監視隊2名と北へ追い払い。 3/3 朝 西へ移動し東部小南の旧ニコスグラウンド内の草原で採食。3信号音とも同 じ場所。 夕 ハナコは高校付近で信号音。マロンは警察署。線路を渡って日大寮側に侵入 していた2頭を追い返す。 4/1 朝 高校歩道橋南に侵入していたハナコを含む6頭を北へ追い返す。ハナコ・グ リーンを含む約20頭は、高校北側で呼び声を出しながら、離山線沿いを東 へ。 警察署前の歩道橋を渡り、日大寮東へ侵入していた7頭を見つけ、警察側へ 追い返す。警察署東にマロンを含む5〜60頭が固まっていた。昼間は、離山 線の北側に散開。 夕 離山地区18号沿いまで進出し、マンション横のレストラン花壇のチュー リップ球根を食べる。北へ追い払い。 4/2 朝 離山線両側。ロンギングハウス花壇のチューリップを食べる。北へ追い上 げ、泉の里北の別荘地へ移動。これで?いいん会のメンバーがたまたま居合 わせたので追い払い指導。午前中は泉の里西北端。 夕 雨の中、東部小東南の平安堂北側へ移動。ホテルサイプレスで泊まる。 4/3 朝 ホテルサイプレス各階南側の客室ベランダで日向ぼっこ。北側へ追い払い、 東の精進場川両岸へ移動。 夕 (監視隊情報 旧軽児童館周辺) 4/4 朝 旧軽ロータリー周辺。監視隊1名と追い払い。マロンはロータリー西にいる 模様。ハナコはロータリーで確認後不明。グリーン他20頭ほどは東側の裏通 りに散開。追い払うが、やりにくい。 今回の総括と今後の課題 主催した監視隊の総括や参加した役場職員の感想とすりあわせ検討を要しますが、以下 は私の個人的総括です。 * 今回の追い上げは、開始後1時間で勝敗が決していたように思われます。中軽地区か ら北へ、比較的被害の少ない地域へ追い上げられた事が一番の成果と言えるでしょう。特 にこの冬はまったく利用していなかった離山の北側へ移動した事は、役場でよく言われる「追い払っても、タライの水をかき混ぜるだけ」ではない、確かな効果があるという証明に なります。 * 一定の方向へ追い上げるには、朝のうちに行うのが効果的で、被害防除には毎朝2〜3 時間の継続的追い上げが必要。 * 司令部は群れの先頭あるいは子連れの集団に密着して、他のメンバーに位置情報と追い 上げの指令を出す事が望ましい。 * もう少し群れに密着したU字型の囲みで追い上げた方が効果的で、群れを見失う事も少 ないと思われた。 * C点かD点に達したところで追い上げを終了しても良かったかも知れない。その時点で は私自身もさらに北へ追い上げてたかったのですが、時間が遅くなるほど群れはコントロ ールしにくくなります。 * これまでの追い上げ経験から、20人一度より、10人2回あるいは6〜7人で毎朝とい う方が効果が上がりそうです。 * 前日の打ち合わせで述べたことですが、3/15旧軽での集団追い払い後、群れの状態が いくらか不安定で、分派行動が見られる事から、今回も追い上げ実施後の監視態勢と異常 な動きに対応出来る用意が必要と強調しました。しかし翌日早朝マロングループの分派行 動や3/31、4/1一部が線路南に侵入した際の追い返しには、監視隊から誰も来ておらず、 29日以降の監視態勢もほとんど1人でした。群れに強い刺激を与える集団追い上げのや りっ放しは危険です。 * 4/5には、旧軽住民による2回目の集団追い払いが予定されています。今回の経験を生 かして、監視隊は住民による追い払いを指導出来る態勢を組んで欲しい。特に、群れの分 裂を避けるようにリードする事が望まれます。 **************************************
by k-saru-net
| 2006-04-06 08:07
| サル追いノート
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広く豊かな自然がありながら、市街地や農地を荒し回る軽井沢のニホンザル。人間とサルの望ましい関係を、観察と対策の実践の中から模索する人々のネットワークをめざしています。 by k-saru-net カテゴリ
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