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2005年 05月 28日
5月28日  「考えた事を現場で確かめる」 T.M.
このところ週末になると、旧軽方面に群れが移動する事が多い。人が多くいても平気なようです。ゴミをねらっている様子はないし、エサにつられてというわけでもなさそうです。5月にはいって2度事故にあったとわれますが、車を恐れるふうでもありません。

昨夕もロータリーの南で住民が追っていましたが、今朝は5時半頃から3人ほどがBB弾や棒を持って追い回していました。群れは南西方向に移動する気配でしたので、移動方向の反対側から追うように声をかけ、一緒に追い払い、群れは精進場側を渡って西に移動。別荘の広い庭に集合してきたのを見計らって、さらに西に追い続け、700mほど移動させる。人が混みあう時間の前に旧軽地区から追い立てられたのは、まずまずの成功といえるでしょうか。

夕方には三笠パークの最上部にいたので、今日はかなりの移動距離です。連休明けから二日続けて同じ所にいることがあまりなく、せわしなく移動を繰り返しているように思われます。住民が住んでいる所は、たいてい誰かが追い払いに出てきて、我々もそれに参加するので、群れにはプレッシャーがかかっているのかもしれません。社会体育館駐車場でも、今朝のロータリー南でも、大型のBB弾銃を持っている住民がいたし、東部小西では、屋根の上でサルの位置を指示する人や、バットを持って追う小学生も登場。この調子でサルを追う人が増えていけば、人間は怖い、人里は恐ろしいとサルが感じるようになって、遊動域も次第に山に移って行く可能性もあるかもしれません。

しかし、人里では徹底してサルの群を追い払うことが、棲み分けにつながるかもしれないというのは、あくまでもまだ「仮説」の段階です。また一方で、私が最後に出席した軽井沢これで?いいん会」学習会で会員の方々が言われた「サルをいじめるような事はしたくない」「いじめると群れの性格が悪くなる」「花火などで脅してひどい事をしてしまった」「時にはエサで誘導を」「多少の被害は我慢する方向に住民の意識を変える」等々から、その後「いいん会」のメールに書かれている「サルとの共棲の可能性を模索」「猿の特性から見て、急な刺激的な追い上げでは解決に至らない」という一連の考え方も、同様にまだ「仮説」です。

自然界の現象を観察していて、その仕組みがひょっとしたらこんな具合かもしれないと思いつく事があります。その思いつきを「仮説」として、さらに現場で観察しながらその仮説がどれだけ現象を的確に説明しうるか、あるいは追試験を重ねて現象が再現されるかを検証して、「仮説」を少しでも「真理」に近づけていく作業が求められます。思いつきを現場で検証しないまま、公式の場で外部に向かって提案するのはこわい気がします。「これで?いいん会」の提案をされた方々は、ぜひその提案の根拠や観察例をあげてください。全国のニホンザルの中で、軽井沢の群れほど観察しやすく、場所を選べば追試も出来る群れはありません。その上で、軽井沢のサル問題に関する、自由でオープンな意見交換を始めませんか? 

他の大型動物同様、サルにもそれぞれの個性があって、さらに群れごとにも個性というか「文化」があると言われています。それぞれの群れが棲む環境が違えば、行動様式も違うでしょう。我々は、ニホンザルの一般的な行動原理を研究するわけではなく、あくまでも軽井沢の群れの行動を少しでも理解し、対策につなげていく立場にあります。

群れは頑固に新しい領域には行きたがらない、とピッキオや猟友会の方も言われますし、私もそう感じたことがあります。しかし、軽井沢の群れには、先代・先々代に新しい領域「軽井沢」にやってきたDNAが確かに残っているでしょうし、その後も遊動域を拡げつつ現在にいたっています。

夕方、三笠パークから中軽井沢に下る途中で、道を渡るイノシシの子供3〜4頭を見ました。ネコよりかなり大きく、親は先に行ったらしく見あたりませんでした。場所が近いので、先日、S.M.1さんが見つけた車にはねられたと思われるイノシシの子供の兄弟かもしれません。昨日の朝は旧軽で、監視隊のTさんがそこら中イノシシが走り回っているから気をつけるようにと注意してくれました。旧軽銀座通りから100mも裏に入ると、イノシシの堀跡だらけです。

by k-saru-net | 2005-05-28 22:12 | メッセージ


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