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2005年 06月 01日
6月1日  「交通事故・・サルと人間の距離」 T.M.
今朝、7:40にセキレイ橋横を横断中の小猿が事故にあいました。道路脇が駐車場になっていて、その奥の石垣を駆け下りてそのまま横断しようとした所を、中軽井沢方向からの車にはねられました。

昨夕、中軽井沢西のはずれにある町営住宅上の斜面(上の原東南端)に泊まった群れが、斜面下にある菜園のネギを食べないうちにと思い、5時から追い上げを始めました。昨夕はそこで近所の3人と追い払いをしましたが、泊まり場と決めたらしく、頑として動こうとはしませんでした。
群れは上の原東端の斜面に沿って、北に移動し、斜面の上から1人が押して、次第に東の低地に中心を移つしていきました。国道146に近い集落に入ると、次々住民が追い払いを始め、4人で出来るだけ湯川方向に追
い上げ。7時頃に、先頭は国道を東へ横断しますが、集落内には家庭菜園が多く、残ったサルを何度か回り込んで追い出すのに手間取りました。

群れの一番北側の集団がホテル・ブレストンコート東の斜面を駆け下りて、その中の一頭が国道で事故。頭部を強打し、即死状態でした。道路に横たわっているのを、セキレイ橋のたもとに回収した後、30頭ほどのサルが橋の反対側に立って、こちらをずっと見続けていたのが印象的でした。

もう一時間早く国道を渡らせることができれば、せめて30分でもと、後から考えても仕方ないことですが・・・。この一ヶ月だけをみても、なぜか通勤・通学時間帯に混
んだ道を渡る事が多い。サルにとって不幸なばかりでなく、もし車がサルをよけようとして、車同士の衝突や通学中の児童に突っ込んだりとなったら、・・・・人里での共棲は無理であろう。今朝、はねた車も3台連なって走っていて、急ブレーキをかけたら車同士の事故になりかねない状況でした。

暖かくなってきて、窓や戸の鍵のかけ忘れが増える季節、人家侵入の被害が多くなっています。今のところ、ミカンや饅頭をとられたという程度の被害ですが、先日フク
ロウの巣立ち雛をいたぶった事を思うと、もし侵入した部屋に赤ん坊が寝ていたら何が起きるのか。もちろん、網戸にも鍵をつけるという指導は必要ですが、それが徹底するまでの時間を考えると・・・、何か起きたとき、鍵をかけなかった親が悪いとか、開けっ放しで遊びに出かけた兄弟が悪いと言えるのだろうか?

「これで?いいん会」が出来て間もない頃、ピッキオのHさんをよんで話を聞いた事を覚えているでしょうか。 その時だったと思いますが、最初に読んでいただきた
い本として皆さんに紹介しました「里のサルとつきあうには」の著者である室山泰之さんが軽井沢のサルを見て、「猿害発生地にしては、サルと人間の距離が異常に近い」と述べた事をHさんが紹介しました。この半年間、軽井沢のサルとつきあってきて、「距離が近い」という事をつくづく実感しました。

先日の朝日新聞ルポにあった宮城県のサル対策について、Hさんから、3月に出たばかりの「宮城県ニホンザル保護管理計画」のサイトを教わりました。そこには、「人とサルとの関係の良好な有り様について」・・・「人とサ
ルとが互いに一定の距離を保ち」・・・「人にとってサルは、山に分け入らなければ簡単には見ることのできない存在として、両者が一定の緊張関係を維持している状態
を構築することである」・・・という考え方が書かれています。

この考え方を軽井沢で取り入れるかどうかは、町民自身で決めていかなければなりませんが、すくなくとも現状では「サルと人間の距離が異常に近すぎる」と私は思います。今の状態では、いつ何が起きてもおかしくないのではないでしょうか。他にも、参考になることがいろいろありますので、興味のある方は下記のサイトをご覧ください。
http://www.pref.miyagi.jp/sizenhogo/seibutu/honyurui/saru/keikaku.pdf
 「これで?いいん会」を退会するにあたって、いいん会の皆様が主張された「共棲」を可能とする条件として、「被害対策に高いコストがかかる」と「個体数調整が必要になる」の2点を皆様はどう考えるのか、疑問を提出しました。いまだにどなたからもお答えいただけませんが、「個体数」の、問題に関して、私自身どうも合点がいかないことがありました。野生の状態ではあまり見られない連年出産が、軽井沢の群れではかなり見られる割には、個体数の増加が急激におきていない事です。もしかすると、交通事故の多さが、その答えかもしれないと感じています。
 この一ヶ月の間に3件というのは特別だとしても、年間6〜7頭でも交通事故死があれば、いかに出生率が高くても総数は横ばいになると思われます。いかがでしょうか? もちろん、「個体数調整」の手段として「交通事故」はサルにとって不幸なだけでなく、人にとっては危険この上ない事ですので、黙認できるものではありません。
少人数での観察と追い上げを、朝夕試みて一ヶ月になります。いろいろ問題点を整理する時期かと思いますが、その前に活発な意見交換を期待していました



by k-saru-net | 2005-06-01 22:17 | メッセージ


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