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2006年 01月 20日
サル追いノート  一人で群れをコントロールできる? 2006.1.19. T.M.
   新しく発信器をつけられた若いメスのマロンが、1月5日に中軽井沢地区北端のホテル駐車場で交尾行動を繰り返しているのが観察されました。現在も群れの中で交尾が見られ、特別遅いというわけではないのですが、出産は6月頃になるのでしょう。春早い時期に生まれた赤ん坊と遅くに生まれた赤ん坊の成長の差は、半年以上経った現在でも明らかで、エサが少ないこの冬どのような経過をたどるか、観察の必要がありそうです。

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            < マロン・ペア >
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           < 06.1.2.右前足裂傷オス >
(前回の報告に書いた、けんかで前足裂傷の傷を負ったオスザル。既に傷は乾いていましたが、右前足は使えず、顔にも多数の傷跡がありました)

昨年の今頃は地上に落ちているクリを食べていましたが、現在は草の葉や種を食べています。木の実も地面に落ちているのを拾っていることが多くなりました。監視隊のTさんの話では、エサ不足のせいか動きの悪い子ザルが人間の子供に捕まえられているのを見たそうです。まだ、木の皮を食べるところはあまり見かけません。

1月9日、古宿地区で何頭かが国道18号南側に侵入して以来、群れは中軽井沢地区西端、病院周辺、警察署周辺、高校周辺、資料館周辺と、国道沿いの人口密集地域を遊動しています。遊動域の中では南側にあたる部分で、自然のエサが特に豊富とは思われないのですが、人家侵入を狙う数頭に引きずられるのかもしれません。人家に植えられたイチイの実がまだわずかに残っているのを食べている事もあります。屋根の上で盗んだカボチャを抱えているサルを下で脅したら、カボチャを落として行きました。カボチャの取り合いをすることはあっても、みんなで分け合って食べる様子は見たことがありません。監視隊の話では、窓から侵入しようとしたサルがガラスを2枚割ったそうです。

1月12日早朝、1頭だけ軽井沢警察前にいて、周辺を廻って群れを探しました。群れ全体が線路の南側(南が丘)に侵入しているのを見つけ、群れの多くが西へ移動中でしたが、まずは先頭の位置を確認するために周囲を車でまわりました。南から西へほぼ300mの広がりで散開していて、とりあえず南と南西に進んでいるグループ(子連れはいない)の先頭のさらに先にまわって、爆竹やロケット花火で動きを止めにかかりました。その後、線路に沿って西へ300m程進んでいた子連れの集団30〜40頭のさらに西側にまわって、爆竹で動きを牽制し、群れの中にロケット花火を数発打ち込む。子連れのサルは多くが地上にいたので、大声で吠えながら西側からジグザグに東へ追い立てると、集団は線路に沿って東へ移動。線路をまたぐ歩道橋の100m手前まで追い、集団の先頭が歩道橋を渡り始めたところで、南側のオス・若サルグループが合流するように南西に回り込む。

群れのほとんどが長い行列をつくって歩道橋を渡り、線路の北側に戻るが、最後の数頭になったところで近くの住民が歩道橋の登り口付近で追い払いを始めたため、残った数頭が逃げ遅れてしまう。その住民に、群れは歩道橋を渡って戻ったので残りのサルもその方向へ行かせるよう頼んで、群れが逆流しないよう車で線路北側の警察署側に廻る。歩道橋を渡り終えた群れを牽制していると、先ほどの住民が歩道橋に残った糞を片づけながら、残りの数頭を追いたてて歩道橋を渡って来て、これで早朝の勝負は一件落着。

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   < 06.1.12. 新幹線としなの鉄道を跨ぐ歩道橋を戻るサルの群れ >

一日おいて14日早朝、群れは再び軽井沢警察周辺に来て、既に数頭が歩道橋を渡って線路の南側に侵入している。まだ歩道橋から先には広がっていないので、爆竹2発と吠え声で北へ追い返す。さらに翌15日は400mほど西の軽井沢高校前の歩道橋を10頭ほどが線路南側へ渡っていました。この日は30分早めに行って歩道橋の上で阻止しようと思ったのですが、サルはさらに早く行動開始したようです。歩道橋を下りたあたりには数軒のペンションがあって、間の悪い事にその日は日曜日で宿泊客はかなりいそうでした。パチンコとロケット花火で進行を止めようとしましたが、後続のサルが歩道橋を渡ってきて、その数30頭ほどに。ペンションの屋根や来客の車の上で暴れているので、うるさいと苦情を言われても追い払った方が良さそうな状況になってきたので、爆竹数発ならして声を出しながら追い返す。
花火の音や声が効いたのか、子連れのメスはほとんどが線路北側に残り、渡って来た30頭はオスや若いサルばかり、少しずつ歩道橋を北へ戻って行きました。

16日早朝はさらに1kmほど西に移動した資料館下の交差点から中学校にかけて、国道18号沿いに散開していて、10頭あまりがしなの鉄道線路際にいました。線路際のサルを追うと、反対に線路内に入ってしまいそうなので、国道の北側にいる群れの本隊を爆竹と追い回しで出来るだけ北の山側へ追い上げる。線路際に下りていたサル達も群れが追い上げられるので不安になるのか、ほとんどが国道の北へ戻るが、それ以上山側に追い上げるのは困難であきらめる。
以上、この数日間の追い上げ記録を長々と書きましたが、侵入されたくないエリアに群れが来たときの対応をまとめてみます。

まず、第一に大切なことは「予防と早期発見」。群れの意志が固まらないうちに、進行を止め、後続の侵入を牽制することが出来る。前日の行動と泊まり場から、翌日の行動を予測することも必要です。

次に、すばやい「状況把握」。どんなサル(オス・若サル・子連れメス等)がどこにどれだけいて移動中か停滞しているかを見極めること。群れを上空から見ることが出来たなら、アメーバのように四方八方に延びながらいつの間にかその内の一つの方向へ全体が縦走をはじめて、群れの移動方向の意志が固まっていくように見えるのではないかと感じる事が多い。交尾行動中のペアの動きは、群れの動きに関係ない事があり、惑わされないよう注意すること。

侵入されたくない方向にふくらんでいるグループに対しては先回りして数10m先で爆竹をならして牽制する。爆竹だけではサルはすぐには逃げないが、爆竹がなっている方へあえて進む事はほとんど見られない。2〜3人いれば群れを少し遠巻きのU字型やL字型に囲んで爆竹で進行を止める。

進行が止まったら、集団密度の高い部分(できれば子連れのメス集団)に侵入されたくない側から圧力をかける。爆竹・ロケット花火、モデルガン・パチンコなどを撃ち込む。一人で追う時は、大声(犬の吠え声をまねる)を出しながら、ジグザグに追い上げていく。追い払いの時はいつも同じ吠え声を出していると、その声を出した途端に逃げるようになります。早朝はまだいいのですが、昼間ひとの多いところで大きな声を出すのは、慣れてもちょっと恥ずかしいものですが、これは腹をくくるしかない。ホンキのケンカ腰で向かっていくことです。

今回は新幹線を渡って南へ侵入したケースで、どうしても追い戻したかったので、一人でもやむを得ず追い上げをしましたが、できれば3人いるとやりやすいでしょう。このような一定のエリアからの追い払いは、いつもうまく行くとは限りませんが、その場所に行くたびに繰り返し追われることで、そこがリスクの高い場所と認識させられるのではないでしょうか。市街地に侵入して、人家からミカンやカボチャにありつけるのは群れの中のほんの数頭。畑に侵入して作物をとれるのはせいぜい群れの2割、たいていは最初の5〜10頭。子連れのメス達はあまりいい思いをしていないようです。危険を冒してまで侵入するのは割に合わないと思い知らせる事だと思います。

1月1日以降のサル追い日誌を掲載します。( )内の位置情報は野生動物監視隊の報告によるものです。
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1月1日 夕 泉の里 草の葉・種、ホウノキの種をたべる。

1月2日 朝 離山集落・マンションで追い払い。爆竹。前足裂傷のオス撮影、
     夕 (長倉神社北100m)

1月3日 朝 長倉神社周辺。湯川橋北・神社で追い払い。爆竹・ロケット花火。住民4名。
     夕 (中部小バス停北300m、)鳥ヶ坂上。

1月4日 朝 鳥ヶ坂北300m。収穫後の畑。人家のイチイの実を食べる。
     夕 上の原南端

1月5日 朝 中軽井沢地区西北部。
     昼 マロンはブレストンコート駐車場で交尾行動。群れはせせらぎの里へ。
     夕 せせらぎの里バス停西200m。千ヶ滝西区外周線周囲。

1月6日 朝 千ヶ滝西区外周線、清水屋山荘付近。
     夕 西区あやめが原バス停北100m。

1月7日 朝 外周線横道下バス停北100〜300m。
     夕 (あやめが原バス停西500m)

1月8日 朝 横道下バス停付近。外周線南西端。
     午前 御影用水下から、太郎山に南下。爆竹・ロケット花火。
     午後 古宿。国道南側に7〜8頭侵入。爆竹・ロケット花火・パチンコ・モデル   
        ガンで追い払い。
     夕 上の原南端。

1月9日 朝 上の原線南端から国道南側へ10頭ほど侵入。追い払い。
     夕 (せきれい橋南300m)

1月10日 朝 長倉公園北西・北。公民館方向へ移動。
      夕 軽井沢病院東。爆竹・ロケット花火。

1月11日 朝 軽井沢病院周辺。国道18号際から追い払い。
      夕 軽井沢警察北。

1月12日 朝 群れ全体が警察前の歩道橋を渡って南が丘に侵入。追い戻す。住民1人。
      
1月13日 朝 (東雲交差点付近)町内東側を探すが発見できず。
      午前 野澤原。マツヤからニコスクラブにかけて。カボチャを落とす。

1月14日 朝 警察署周辺。数頭が歩道橋を渡って南へ。爆竹。追い返す。
      夕 (軽井沢高校北100m)

1月15日 朝 軽井沢高校前の歩道橋を渡って南側へ約30頭侵入。北へ追い返す。
      夕 (図書館周辺)

1月16日 朝 資料館から中学校にかけて。国道沿いから北へ追い上げ。
      夕 (長倉神社北300m)

1月17日 朝 石山周辺。群れの多くが草を食べている。
      夕 (せきれい橋南西300m)

1月18日 朝 鳥ヶ坂から森林管理署にかけて散開。収穫後の畑に。
      夕 星野温泉入り口北、塩壺温泉入り口南の国道沿いで数頭目視。ハナコ
        信号音は野鳥の森入り口で最強。

1月19日 朝 千ヶ滝通り塩壺温泉入り口付近を東へ移動。
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by k-saru-net | 2006-01-20 22:22 | サル追いノート
2006年 01月 02日
サル追いノート 2006年、最初の報告です  2006.1.1. T.M.
軽井沢のサルの群れは、新幹線の駅から600m、国道わきの大型スーパー、ホテル、
大型書店、スポーツクラブ、小学校が点在する住宅地で新年を迎えました。野生動物
でも飼育動物でもない、第三のカテゴリーが必要になりそうです。カラス、野良猫や
野良犬、東京や神奈川のインコやリス、それに軽井沢のサル。・・・・・・人間の側
の対応の仕方に問題があるのでしょう。軽井沢のサルも「食」の面から見ると9割方
「野生」なのですが・・・・・・・・

飼育されていた大型ほ乳類が野生化する例は、犬・ネコ・山羊など日本でもいろいろ
ありますが、餌付けされた場合をのぞいて野生の大型獣が人里に住み着く例は少ない
ようです。もっとも、江戸時代まではそれほど珍しい事でもなかったようですし、東
南アジアやアフリカでは今でも普通に見られる所もあるようです。人間とサルの濃厚
な接触を通して、サルの感染症が人間に伝染することもあり、世界規模の問題に発展
することもあります。

日本列島は氷河期の終了後、飛べない動物にとっては「鎖国」状態にあって、野生動
物からの感染症や寄生虫は主として昆虫や水生動物が媒介するものでしたが、地方に
よっては昔からノウサギを食べてはいけないとか、近年はシカを生で食べないように
と言われているようです。動植物や飼料などが海外から入ってくるようになって、思
わぬ感染症や寄生虫が持ち込まれることがあります。輸入されたサルが野生化したり、
ニホンザルと交雑する事が見られる現在、日常生活空間での安易な接触は避けた方が
いいのではないでしょうか。

生で食べる野菜の畑をサルが荒らし回ったり、サルが囓った干し柿や大根が処分され
ずにいつまでもぶら下がっていたり、干してある布団や洗濯物にサルがのったり、子
供が遊ぶブランコやジャングルジムでサルが遊んでいたり・・・・という状態はあま
りにも無防備と言わざるを得ません。リスならいいのか?と言われると何とも答えに
くいのですが、サルと人間が近縁の生物である事はこの問題ではやはりマイナスの要
素と考えるべきでしょう。この一年、サルの群れの行動力や被害を見ていると、やは
り人間とサルの生活空間は一定の距離をおくべきではないかと感じます。

11月4日に発信器を装着された「マロン」の電波が、12月21日の夕方から受信さ
れなくなりました。町内あちらこちらを探しましたが、監視隊に聞いたところ、群れ
が移動しているのに電波の発信地が動かないのでおかしいと思い探したら、ベルトを
ちぎられた発信器を見つけたそうです。ベルトには血がついていて、他のサルに食い
ちぎられたようだとのことです。前足に裂傷を負ったオス、後ろ足の具合が悪いメス
も見られ、クリが豊富だった去年の今頃に較べると、群れの様子がざわついているよ
うに思えます。

12月30日には、回収された発信器が新たにとりつけられ、新マロンが誕生しました。  
ちょっとトッポイ感じの中型のメスです。発信器のベルトを自
分で回して、アンテナを前にもってきて囓っていました。

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               < 新マロン >
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       < 新マロンとアンテナ 〜ぐるっと回して齧ってます〜 >

三笠パークで1頭がチョウセンゴミシの実を食べていましたが、今年はあまりなって
いません。寒さでしなびた実を房ごと採って、種は出していました。地面に落ちてい
るミズキの実を良く食べています。パリポリと離れた場所でも聞こえるほど大きな音
を立てて種をかんでいます。糞を見るとイチイと思われる丸い種がたくさんはいって
います。イチイの種には毒があると言われているので、噛みつぶさずに丸飲みするの
でしょう。この3種は同じぐらいの大きさの実ですが、「種を出す」「種をかみ砕く」
「種ごと丸飲み」の食べ分けをしています。
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               < ゴミシを食べる >

この秋、ホウノキの実が豊作で、今でも拾って食べています。草の穂を手に持って、
口でしごいて種を食べるのも見られます。夕方かなり暗くなるまで、忙しく手を動か
しているメスの集団を見かけます。

前回の報告以降の「サル追い日誌」を掲載します。 ( )内の位置情報は野生動物
監視隊の報告によるものです。
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12月15日 朝 千ヶ滝西区あやめが原周辺。外周線の下。

12月16日 朝 中軽井沢、中央公民館の北と西を東方向へ移動中。
      夕 離山集落東。爆竹で追い払い。

12月17日 朝 軽井沢警察東側。陸橋に上がっていた集団を追い払う。爆竹。北東へ
      夕 (一本松南400m)

12月18日 朝 旧軽ロータリー南側でハナコとマロンの信号音。目視出来ず。
      夕 (旧軽児童館南西400m)

12月19日 朝 新軽井沢 東雲交差点東側。一部は交差点の南で西に移動。
      夕 (旧軽児童館南200m)監視隊の話では昼間住居侵入、柿を食べた。

12月20日 朝 旧軽井沢 釜の沢、太陽の森別荘地の斜面でホウノキの実を食べる。
      夕 (一本松南200m)

12月21日 朝 旧軽銀座北端を東・大塚山方向へ移動中。両信号音受信。
      夕 旧軽ロータリー付近でハナコの信号音のみ受信。

12月22日 朝 旧軽ロータリー西側から西南に移動。ミズキの実をパリポリ食べる。
      夕 (東部小西200m)

12月23日 朝 軽高から離山集落へ。離山線の両側。ハナコの信号音のみ。
      夕 中軽井沢 石山の西、三井の森境界線道路の下。ハナコのみ。

12月24日 朝 第一法規寮から石山斜面中腹に散開。ハナコの信号音のみ 
      夕 中央公民館北東200mでハナコの信号音最大。マロンなし。

12月25日 朝 長倉公園周辺。湯川橋北側で追い払い。公民館西側へ。住民5人。ミカ
ンを食べる。爆竹、ロケット花火使用。ハナコの信号音のみ。
      夕 (軽高北50m)

12月26日 朝 軽高北側。マロンを探しに、旧軽・新軽・線路南へ。
      夕 翌朝、東部小北のアロークラブ北側にモミの枝が多数落ちていた。

12月27日 朝 東部小北。アロークラブから雲場池南端にかけて散開。
      夕 鹿島の森ホテル北。監視隊当番からマロンの発信器回収の話を聞く。

12月28日 朝 三笠パーク15番の南200m。チョウセンゴミシの実を食べる。
      夕 (旧軽児童館西300m)

12月29日 朝 旧軽ロータリー、静山荘、教会南。リンゴ、干し柿を食べる。監視隊1 名
と追い払い。
      夕 (旧軽児童館西500m)

12月30日 朝 旧軽郵便局裏、児童館、テニスコート周辺。
      夕 万平通り森裏橋南。暗い中で活動中の数頭目視。

12月31日 朝 万平通り音羽の森ホテル周辺。ハナコと他1頭がミカンを食べる。他は
地上で採食。西へ移動。
      夕 東部小南東200m。暗い中、樹上で数頭活動。威嚇攻撃。爆竹1発。

1月1日  朝 東部小南から西の住宅街、警察北側。ニコスクラブ内の集団に爆竹とロケ
ット花火。
     午前 軽高東側。メス1頭右後ろ足の具合が悪い。新マロン撮影。北へ。
     午後 泉の里。離山集落で追い払い。爆竹2発。
      夕  泉の里 軽高北300m。ホウノキの実、草の種を食べる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・以上・・・・・・・・・・・・・・・・・
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by k-saru-net | 2006-01-02 20:29 | サル追いノート