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2009年 08月 18日
オオブタクサ
 10年以上前からではないかと思いますが、町内の空き地や道路際に外来種のオオブタクサが侵入しています。北アメリカ原産のキク科植物で、戦後日本に侵入したと言われ、全国的に分布しているようです。下の写真は休耕地を覆いつくすオオブタクサの大群落で、背丈は3mに達し、他の植物を排除する密集群落をつくります。株が小さいうちは、葉に裂け目がない事もありますが、大きくなると3~5裂の手のひら状の大きな葉がつきます。
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 軽井沢にはセイヨウタンポポ、ヒメジョオン、マツヨイグサの仲間など、大きな群落をつくる外来植物がいろいろありますが、今回とくにオオブタクサを取り上げる理由には次の二つのことがあります。
 写真でもわかるとおり、オオブタクサの群落は非常に密集していて、他の植物を完全に排除してしまいます。軽井沢は過去、広く草原が広がり、火砕流跡にできた水はけの良い乾燥草原から、湧水地帯に発達した湿地草原まで、バラエティーにとんだ植生が見られました。戦後急速に森林化と開発が進み、草原が減ってしまいましたが、ほそぼそと残っているハクサンフウロ、オミナエシ、ワレモコウなどが駆逐され、オオブタクサに占有される可能性があります。
 第二に、下に花の写真を載せましたが、オオブタクサは風媒花で多量の花粉が初秋から飛散し、花粉症の原因になります。今後、スギ花粉症に次ぐほどの患者発生の可能性があります。原産地では5~15%の人が発症しているようです。人口の一割の人が花粉症になると、軽井沢町では毎年数千万円の医療費を自治体が負担し続ける事になります。
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 戦後一時期、もう少し小さいブタクサという外来種が日本に侵入し、花粉症の原因になりましたが、20年ほどで衰退し現在はあまり見られなくなりました。セイタカアワダチソウも減っていると思います。 今後、オオブタクサがどうなって行くのかは、今のところわかりませんが、今も増え続けている事は確かです。天敵が存在するかどうかはわかりません。昆虫などに食べられている様子はありませんし、数年にわたって観察している大群落に他の植物が侵入していることもありませんので、無敵の侵略者のように見えます。
 オオブタクサは数回刈り取っても、根が残っていれば再生します。左の写真のように小さいうちに抜き取るのが良いようです。最近は、山地の別荘地にも侵入していますので、早急な対策が望まれます。まずは町民、別荘民に知らせることが必要でしょう。役場には残念ながら、生態学・生物学の専門家がいません。軽井沢の自然をどのように保全していくのか、専門的に取り組むところがありませんし、町民が相談に行くところもありません。野生動物対策を通じて痛感していますが、行政は自然に対しあまりにも無関心ですね。歴史・文化に対しては、内実はともかく、資料館等いくつかの施設があり、歴史的建造物の保存も進んでいるようですが、自然に対しては、あって当たり前ぐらいに考えているのか、あるいは開発の邪魔とでも思っているように感じます。
 数年前に、自然保護管理センターの設置と自然博物館の必要性を提起しましたが、軽井沢の自然をどうするかという仕事は、役場の一般行政職がやりきれる分野ではありません。町民・別荘民に開かれた、そして町の子供たちの自然教育につながる専門人員と施設が望まれます。  (文責 寺山 光廣)
     
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by k-saru-net | 2009-08-18 09:16 | その他の動物・自然一般
2009年 08月 12日
威嚇するオスザルのカブキ
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 前夜来、群れ本体から1km近く離れてしまった5頭と赤ん坊2頭の集団にいたオスザル。8月6日早朝、集団を群れの方へ追い立てる間、しきりに威嚇してきました。鼻の上に傷があり、オトナオスとしては中型。役場のサル追い隊の若い人たちは、カブキ(歌舞伎)と名付けています。
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by k-saru-net | 2009-08-12 12:45 | 写真
2009年 08月 09日
クマヤナギの豊作
 前回、7月17日の記事ではクワの実がそろそろ終ると書いたのですが、その後2週間、残り少なくなった実を求めて、離山の北側や東側を中心に活発に動くようになりました。一カ所では満足しきれないのか、他のエサが長雨のせいで実らないためか、動きが激しく、分派行動も目立っています。
 例年ですと、この時期にはヤマユリやウバユリの蕾の雄しべを食べたり、ツノハシバミの若い実を食べるのですが、今年はクワの実が豊作だったためか、あちらこちらで久しぶりにユリの花を楽しめたという声を聞きます。これまでは家庭菜園の被害もひじょうに少ないようです。8月の10日前後には、トウモロコシや枝豆をねらって畑に侵入するようになりますので、これからが被害防止の本番になります。

 軽井沢特有の被害として別荘侵入がありますが、これはすでに頻発していて、モモなどがとられています。別荘客の中には、追い払いを拒否したり、サルにエサをやったり、野鳥に大量の給餌をするためにサルが寄ってきたりというのも、この時期に多くなります。別荘の被害は捕捉できない事が多いのですが、アンテナや雨樋の破損はかなりの数に上るでしょう。広報活動や現場での放送など、きめ細かい対応が要求されるだけでなく、都会からやってくる人たちに対し野生動物対策の基本的な理念や方針を説明できるかどうか、自分がためされることの多い季節でもあります。

 梅雨が長引いて、日照不足や低温の影響が動植物や畑に出ています。6月の初め頃から異常を感じてはいたのですが、この夏のような天候は16年前の1993年にもありました。93年は最後まで梅雨があけず、そのまま秋雨前線になってしまいました。93年同様北西の大陸からの不安定な気流が日本列島にむかってきていますが、オホーツク海に強い高気圧ができていないのは、93年と違うところでしょうか。93年当時の軽井沢のサルの行動記録は残っていないでしょうから、較べようがありません。自然現象の変化を記録していく事の重要性を痛感します。

 8月に入って、高い木の上で何かを食べている事が多くなりました。アオムシやシャクトリムシでも食べているのかと思っていましたが、つる性植物のクマヤナギの実を食べているようです。クワの実のようにどこにでもあるというわけにはいきませんが、あるところでは実のつきがよく、すでに黒く熟しているのが見られます。 
(写真をクリックしますと拡大されます)
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 過去の記録でも、8月10日頃には食べていますので、長雨の影響はないのかもしれませんが、実が熟し始めている時期に平行して、花が咲き始めているのは不思議な気がします。ミズナラ・コナラはまだ実がついているのを見ていません。クリは日当りの良いところで小さなイガをつけていますが、これからの様子を見なければ実るかどうかはわかりません。ウワミズザクラの実は少なく、オニグルミの実はかなり多いのですが、どんどん落ちています。

 7月末ごろから湯川の西側、千ヶ滝西区を利用する事が多くなり、その度ごとに中軽西や古宿の畑や家庭菜園の方に南下しないよう、追い立てを強めています。これからしばらくが、野菜の被害の多発する時期でもあり、別荘客や観光客で込み合う時期と重なって、対策側にとってきつい季節になります。     (文責 寺山 光廣)

8月11日 追記
 クマヤナギの実が熟しているのと平行して花が咲いている事を、「不思議な気がします」と書きましたが、サル追いの現場で役場のメンバーから、クマヤナギの実は翌年になって熟す、という話を聞きました。ブログの記事を書く前に、一応「牧野の植物図鑑」と保育社の「樹木図鑑」を見たのですが、その点についてはどちらの図鑑にも指摘はありませんでした。花は夏に咲くと書かれているので、その時点で不思議に思わなければいけなかったのでしょう。インターネットでクマヤナギを検索しますと、すぐにその記述が出てきました。実は越年して、次の年の花が咲く1ヶ月位前に黒く熟すようです。30年前の手法だけに頼ったことの危険性とともに、間違いを指摘してもらえる事はとてもありがたいことと感じました。   寺山 光廣
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by k-saru-net | 2009-08-09 21:38 | サル追いノート