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2010年 08月 28日
食べても怒られない里の餌  8月28日 2010年

 花びらはバラより薄く、鮮やかなピンクの花を咲かせるハマナスは、自生地の他にも時々植えられているのを見かけます。親指と人差し指で輪を作ったぐらいの大きさのオレンジ色の実をつけます。生で食べるほどには美味しくありませんが、ジャムにすることはあるようです。軽井沢で、サルが毎年食べるハマナスは一ヶ所しかありませんが、生け垣に仕立てられかなりの量の実がなります。映像で見られるようにかなり執着しているところを見ると、きっとサルにとっては美味しい餌なのでしょう。d0164519_21151089.jpg

 クワの実が終って、今年はクマヤナギがあまり多くはなく、ハシバミは不作、そろそろ畑の被害が大きくなりそうな微妙な時期の8月13日、市街地に近い別荘地のハマナスの実に群がって食べていました。ヤマボウシやオオヤマザクラ、ソメイヨシノ、イチイの実のように、農作物ではないため野生動物が食べても人が怒らない餌がかなりあります。これらは人が観賞用に植えるのですが、餌としてみればかなりの量になるものばかりです。里にあるため、周囲には家庭菜園があったり、ユリやチューリップ、ブルーベリーやスグリの仲間、木いちごの仲間など、人が大切にしているものも多くあります。

 軽井沢は寒すぎるのですが、ちょっと標高の低い隣町までは柿の木がたくさんあって、今は干し柿を作る人もいないため、たくさん実った赤い実はサルを誘っています。軽井沢では畑の隅に捨てたカボチャの種からつるがしげり、勝手にたくさんの実がついています。出荷する予定ではないらしく、畑の持ち主はサルがカボチャを抱えて走っていても追い払いません。8月23日には、離山地区の国道と線路の南で、カボチャが大小20個余りとられましたが、周囲では追い払う人もいませんでした。ヒマワリの花もちぎって行きましたが、種が実るとサルを誘う餌になります。

 野生動物対策では、人里にたくさんあって、動物が食べても誰も怒らない餌の存在が、動物を里に誘導しているという事で問題になっています。井上雅央さんの本「これならできる獣害対策」にくわしく書かれています。

 各地でボランティアによる、放置された柿やゆずの収穫が始まっていますが、過疎化や老齢化で、集落の人だけでは処理できなくなっているのが現状です。わずかずつですが人口の増えてきた軽井沢でも、サルの被害のように直接身に降り掛かる災難に対し、集落の人だけでは対処できないほど、地域社会の力が弱くなっています。まして、山村のいたるところにある「限界集落」では、現金収入の少ない年寄りの糧でもあり楽しみでもある畑仕事ができなくなってきました。軽井沢でもサルの遊動域にあたる地域では、この5年ほどで家庭菜園の面積が半減していると感じています。一見、年々被害が減少しているように見えても、じつは被害に遭う畑や家庭菜園が、堪えられなくなって耕作をやめてしまっていることが多いようです。自然のなかで自然の恵みを受けてきた山間地の集落に、最後のとどめを刺すのがイノシシ、シカ、サルなどの自然の動物達ということになりそうです。
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by k-saru-net | 2010-08-28 05:25 | メッセージ
2010年 08月 15日
トウモロコシ被害が始まる  8月14日 2010年
e0005362_2056389.jpg 前夜の泊り場から300m ほど離れた規模の大きい家庭菜園群(一部は出荷しているかもしれません)が、早朝サルの群れ全体に入られ、ざっと見ただけでもトウモロコシ約100本の他、エダマメ、カボチャ、キュウリ、ナス、ズッキーニなどが被害にあいました。5時50分すぎに現場についた時は、ほとんどのサルが満腹状態だったのか、追い払いを始めたとたんにさほどの未練を見せず、新幹線の塀を越えて北へ逃げました。逆算すると、群れは5時30分よりも前に行動を開始したものと思われます。

 このケースに見られる被害対策の問題点を検証してみたいと思います。

 私自身について考えるなら、朝は4時前に起きていますが、この日は曇天でサルの行動開始がこれほど早くはないと思い、出発は5時半頃。それでも、いつもよりは2~30分早めに出ました。昨夜の泊り場付近にいないことを確認し、さらに国道と線路北側の家庭菜園にサルがいないことを確認してから、線路の南側に行きました。そのロスタイムが15分ぐらいあったでしょうか。まっすぐ被害現場に行っていれば、被害はもっと少なかったでしょう。

 被害にあった菜園のうち一番大きい畑は電気柵で囲われていたにもかかわらず、なぜサルに入られたのか。写真でも判るとおり、電気柵は25cm ほどの間隔で単線が5本張られたものです。一番下のプラスチック碍子がねじ曲げられているのが見えます。下から2本目の電線もたるんで間隔が広げられています。回りには登って上から飛び込めるような木や家はなく、電気柵の下方から押し入ったと思われます。

 電気柵の内部ギリギリまで作物があるため、葉が接触して放電していた可能性があります。草も生えていて、一番下の線は特に効果がなかったのかもしれません。この場所はイノシシやタヌキの被害もあるかも知れませんが、毎年サルに入られて大きな被害を出しているにも関わらず、ネット式の電気柵ではなく間隔の広い単線の電気柵を設置した事自体が間違いではないでしょうか。手足や顔などの無毛の部分が触れない限り効果の薄いものですから、このタイプを設置した業者が被害の実態を知らなかった可能性があります。菜園所有者にとっても、補助金を出す役場にとっても無駄な出費です。この地区では、以前にも電気柵を設置しながら、周囲の家や木から飛び込まれて被害が止められず、電気柵なんて無駄だという意識が住民にあります。適切な指導をしないで金をかければ、かえって対策の進展を阻害しかねません。

 クワの実が終わり、10日間ほどクマヤナギなどを食べた後、毎年8月中旬からトウモロコシなどの農業被害が発生しています。この畑も同じ時期に毎年被害にあっています。前日の泊り場の位置から、翌日の被害は予想できたと思います。しかし、地域住民や町内会・隣組などに対する積極的な情報提供はなかったと思われます。役場の対策員が到着したのは7時少し前で、通常2人体制ですがこの日は1人。その時間にはすでに、満腹のサル達は線路と国道をはさんで向かい側のマンションの屋根で食後の休憩状態でした。状況に応じて柔軟な行動ができる体制でなければ、野生動物に対応できないでしょう。パターン化された追い払い体制をサルは学習して、隙をつく行動をしてきます。

 以上、今回の被害に見られる問題点を簡単にあげましたが、一番の問題は「問題点を検証する」姿勢も場もないことでしょう。被害住民と対策側が話し合う事もないため、それぞれがその場しのぎの行動で、手間も費用も効率の悪い使われ方になっています。効果の低い対策は無力感やあきらめにつながっていきます。

 なお、写真の右端の花豆の葉に、昨年同様の病変が見られます。他地域でも同様の病変が出ています。地域によっては、昨年収穫がなかった所もありました。
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by k-saru-net | 2010-08-15 22:06 | サル追いノート
2010年 08月 07日
夏の皮はぎ・・・クマと遭遇  8月5日 2010年
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 クワの実がほとんど終っても、サルの動きにはまだ「未練」が残っているように感じられます。まだわずかに実が残っているのかもしれませんが、クワの木に取り付いていることが多く見られます。先週までとは違い、めったに使わない移動ルートをたどることが目立ちます。今年はクマヤナギの実が少ないせいかもしれません。昨年8月初旬はクマヤナギの実を中心に、ウド、シシウド、ツノハシバミなどに手を出していて、トウモロコシなどの畑の被害が本格化するのは、8月中頃からでした。現在は、ミヤマザクラの実に群がって追っても戻るような執着を見せる以外は、なにを食べているのかよくわからない事が多い状態です。ミヤマザクラの実は、中の種まで食べるらしく、離れていても種を噛み砕く音が聞こえます。オニグルミの若い実も食べますが、強い執着を示すほどではありません。そろそろ緑の皮の中の殻が堅くなってきて、若いサルでは噛み割れなくなります。

 軽井沢中央部の渓流を、群れがいつもより北の方で渡り、林道沿いの斜面で樹上に泊りました。周囲は国有林で目立った被害が出ない場所なので、早朝ゆっくり観察していましが、冬場によくある樹皮を剥ぐ行動が見られました。何本かの木の枝が地上4~5m のところで樹皮を剥がされ、垂れ下がっています。一本はクワの木のようでしたが、他は樹種がわかりませんでした。泊り場に1時間以上とどまっていました。
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 役場のサル追い隊2名がやってきて観察の加わってほどなく、前方(北)20m あまりをツキノワグマが林道を横切りました。西側の渓畔林から東の斜面へ、早歩きの速度で、こちらを振り向く事もなく、静かな移動でした。単独で、大きさは中ぐらい?の成獣。道を横切る時の印象は、スラッと細身で毛並みはきれいでした。右の写真は林道ののり面に残る足跡です。

 そのまま斜面を上って東に行くと思われたので、3人でクマが渡ったところへ林道を進みましたが、林道ののり面の上をクマは南へ進み、最接近した所は10m 以内だったと思われます。東西に並んだところで、クマは東へ斜面を上がって去りました。日頃、クマにであったら静かに後ずさりするようと人には言っていながら、何とも無謀な対応だったと反省しています。

 サル追いをしているとクマと接近する事はよくあります。こちらが騒々しく群れを追い立てているため、クマの方が気づいて避けているというのがわかります。今回は静かに観察していたので、気づかなかったのでしょう。毛が濡れてなく、道にしずくが落ちた様子もないことから、西側の渓流を渡って来たのではなかったでしょう。クマが出てきた場所を、30分以上前から車と徒歩で何度か往復しているので、渓畔林に潜んでいたのでもなさそうです。渓流側で林道沿いを北から下ってきたら、私たち3人がいたため、山側に移ってさらに南下しようとしたという可能性が高そうです。広葉樹の発達した渓畔林と国有林が北からずっとつながっている所ですから、クマの侵入を止める事は難しいロケーションと言えます。自分の対応を含めて、いろいろ考えなければならない事が多い、クマとの遭遇でした。



 
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by k-saru-net | 2010-08-07 09:26 | サル追いノート