2010年 08月 07日
クワの実がほとんど終っても、サルの動きにはまだ「未練」が残っているように感じられます。まだわずかに実が残っているのかもしれませんが、クワの木に取り付いていることが多く見られます。先週までとは違い、めったに使わない移動ルートをたどることが目立ちます。今年はクマヤナギの実が少ないせいかもしれません。昨年8月初旬はクマヤナギの実を中心に、ウド、シシウド、ツノハシバミなどに手を出していて、トウモロコシなどの畑の被害が本格化するのは、8月中頃からでした。現在は、ミヤマザクラの実に群がって追っても戻るような執着を見せる以外は、なにを食べているのかよくわからない事が多い状態です。ミヤマザクラの実は、中の種まで食べるらしく、離れていても種を噛み砕く音が聞こえます。オニグルミの若い実も食べますが、強い執着を示すほどではありません。そろそろ緑の皮の中の殻が堅くなってきて、若いサルでは噛み割れなくなります。 軽井沢中央部の渓流を、群れがいつもより北の方で渡り、林道沿いの斜面で樹上に泊りました。周囲は国有林で目立った被害が出ない場所なので、早朝ゆっくり観察していましが、冬場によくある樹皮を剥ぐ行動が見られました。何本かの木の枝が地上4~5m のところで樹皮を剥がされ、垂れ下がっています。一本はクワの木のようでしたが、他は樹種がわかりませんでした。泊り場に1時間以上とどまっていました。 役場のサル追い隊2名がやってきて観察の加わってほどなく、前方(北)20m あまりをツキノワグマが林道を横切りました。西側の渓畔林から東の斜面へ、早歩きの速度で、こちらを振り向く事もなく、静かな移動でした。単独で、大きさは中ぐらい?の成獣。道を横切る時の印象は、スラッと細身で毛並みはきれいでした。右の写真は林道ののり面に残る足跡です。 そのまま斜面を上って東に行くと思われたので、3人でクマが渡ったところへ林道を進みましたが、林道ののり面の上をクマは南へ進み、最接近した所は10m 以内だったと思われます。東西に並んだところで、クマは東へ斜面を上がって去りました。日頃、クマにであったら静かに後ずさりするようと人には言っていながら、何とも無謀な対応だったと反省しています。 サル追いをしているとクマと接近する事はよくあります。こちらが騒々しく群れを追い立てているため、クマの方が気づいて避けているというのがわかります。今回は静かに観察していたので、気づかなかったのでしょう。毛が濡れてなく、道にしずくが落ちた様子もないことから、西側の渓流を渡って来たのではなかったでしょう。クマが出てきた場所を、30分以上前から車と徒歩で何度か往復しているので、渓畔林に潜んでいたのでもなさそうです。渓流側で林道沿いを北から下ってきたら、私たち3人がいたため、山側に移ってさらに南下しようとしたという可能性が高そうです。広葉樹の発達した渓畔林と国有林が北からずっとつながっている所ですから、クマの侵入を止める事は難しいロケーションと言えます。自分の対応を含めて、いろいろ考えなければならない事が多い、クマとの遭遇でした。
by k-saru-net
| 2010-08-07 09:26
| サル追いノート
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広く豊かな自然がありながら、市街地や農地を荒し回る軽井沢のニホンザル。人間とサルの望ましい関係を、観察と対策の実践の中から模索する人々のネットワークをめざしています。 by k-saru-net カテゴリ
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