2011年 03月 18日
別のブログに書いた内容を転載します。 前に、放射線を一時的に外から浴びることと、放射性物質が体内に入って、内部から被曝する事の違いについて書きました。報道でしきりに登場するシーベルトという単位に対する二つの誤解が、この問題を解りにくくしているように思います。私は専門家ではありませんので、以下に書きます事が間違っていましたら、どうかどなたでもご連絡ください。 まず第一に、例えば長さの単位では m (メートル)を基準に、その1/1000(千分の一)がmm(ミリメートル)、さらにその1/1000 がμm(マイクロメートル)でこれはメートルの百万分の一にあたります。同様に、Sv(シーベルト)の1/1000がmSv(ミリシーベルト)、さらにmSv の1/1000 がμSv (マイクロシーベルト)ですから、マイクロシーベルトはシーベルトの百万分の一になります。この単位の違いに気づかないと放射線の強さを正しく評価できない事になります。 第二に、報道を注意深く聞いていますと、例えば1時間当たり5ミリシーベルトという言い方をしていることに気づくでしょう。これは、その環境に1時間いると5ミリシーベルトの放射線を浴びるということですから、12分間なら1ミリシーベルト、1日いれば120ミリシーベルトの放射線を浴びるという事になります。例えるなら、時速(1時間当たり進む距離)50kmで走れる動物でも3分でバテテしまうのなら2.5kmの距離 しか進むことができませんが、時速5km で歩く人間が5時間歩ければ10倍の25km の距離を進む事が出来るわけです。 この理解の上で、放射線が健康におよぼす被害について考えてみます。参考にWikipediaで「シーベルト」の項をひいてみます。そのページをずっと下の方に移動しますと、「人体に対する放射線の影響」という項目があります。様々な限度量がならんでいます。単位はmSv (ミリシーベルト)ですが、これはその千倍の単位Sv (シーベルト)では、数値が2以上になると人が死に始めるため、健康に及ぼす影響を考えるにはmSv を単位にとるのが適当だからです。 (妊娠可能な女性を除く)原発作業員の限度は一年間の50mSv とされています。ただし、毎年その量を浴びていると危険ということで、5年間で合計100mSv とされています。このあたりの数字は、急性の健康被害ではなく、癌の発生などの長期的な影響ということでしょう。 250mSvになると、白血球の減少という急性症状が出ます。急性症状の数字は、一年間に浴びる量ではなく、一度に浴びる量です。1000mSv になると、吐き気などの目に見える症状が出て、2000mSv では死ぬ人もいて、7000mSv ( 7Sv ) 以上ではほとんどの人が死亡するということです。 最初の例で、一時間当たり5 ミリシーベルト(5mSv/h) の環境に12分間いれば1mSv つまりWikipedia の表では一般の人が一年間に浴びてもよい放射線量に相当しますが、1日いれば120mSv になり、原発作業員が一年間に浴びる限度の2倍以上を浴びてしまいます。 どうも、報道する側でも、放射線の強さと浴びる放射線総量の関係を混同していいるような気がします。 また、現在のような危機的状況下で作業する場合は、ここに書かれた限度をある程度オーバーしても仕方ないという、別の上限(250mSv)を設定しようとしています。
by k-saru-net
| 2011-03-18 05:15
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広く豊かな自然がありながら、市街地や農地を荒し回る軽井沢のニホンザル。人間とサルの望ましい関係を、観察と対策の実践の中から模索する人々のネットワークをめざしています。 by k-saru-net カテゴリ
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