2005年 05月 13日
「サル追い」とは直接関係ありませんが、今後どのような考えに基づいてサルを追って行くのか、ご理解いただくために、掲載します。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 退会の理由 5月9日の学習会および、その後の会員間のメールで明らかになったとおり、サル対策の基本姿勢に対する会員の発言のほとんどが「棲み分け」から「共棲」をめざすものに変わり、さらに5月11日の当会と役場、猟友会の3者会談においても、S副会長の報告にあるとおり、「我々は今、サルとの共棲がいかにしたら可能かという視点で色々と模索しており、・・・・」とあります。 この会の発足当初から、私はこの町の現状では「サルとの共棲」は不可能と考え、あくまでも基本姿勢として「棲み分け(分棲)」を主張してまいりました。当会のパンフレット、子供向けのチラシ、3月27日の集会などでの発表をとおして、会員のみならず町民および自然保護各種団体に「棲み分け」を提言し、それにそってまいりました。しかしここに至って、多くの会員の皆様が「サルとの共棲」を希望されていることが明らかになりました。会内部での討論や検証作業を通じて、会の方針変更がなされたのならそれに従うこともあり得ますが、その過程を経ずして、県のサル部会座長との会談や、役場・猟友会との会談で「共棲」の考えが出てまいりましたので、もはや、この会の中にとどまって議論する段階を越えてしまったと考え、退会することとしました。 ・・・・上記の理由に対する補足説明・・・・・・ [パチンコ・爆竹・ロケット花火について] 5月9日の学習会において「サルに対してひどい事をしてしまった」「サルの性格を悪くする」等の批判がありました。夕方群れを見に行くと、東部小北・離山地区・千が滝西区・石山付近・一本松付近など住民や寮・別荘の多いところでは、サルの群を追い払おうとしている人や、サルを怖がっている年輩者に会うことがあります。その際、追っている人には加勢し、買い物帰りのおばあさんが通れば、話しながらパチンコでサルを追い払いました。状況によっては、爆竹やロケット花火も使いました。離山でBB弾を撃っているお父さんに従っていた小学生には、ガラスに気をつけてと言いパチンコをあげました。千が滝の寮管理人さんには爆竹をあげました。5月9日のことで猟友会が問題にした、一本松の別荘オーナーには、それ以前に群れが家の屋根で暴れている時、了解を得てロケット花火でサルを追い、パチンコを勧めておきました。現場に通っていれば、他にも何度もこのような事態に遭遇いますが、今もその時とった対応が間違っていたとは思いません。パチンコやロケット花火の効果を高めるために、安全と思われる場面で、サルに向けて撃つこともしてきました。これらはほとんどは、監視隊が来る前か、帰った5時以降のことです。 [サルとの共棲について] 軽井沢の現状では、サルと共棲する事は不可能と申しました。厳密に言うならば、いくつかの条件を満たせば可能ですが、その条件というのは9日以降に語られているような「住民の意識変化」(多少の被害は我慢すればいい等々)とは考えていません。 まず第一に、100頭近いサルの群と共棲しながら、被害をなくすにはかなりのコストがかかるという事です。被害を我慢しろと言うのは簡単ですが、現状でも困難な事を、さらに農業被害が拡大したり、人が噛まれた場合、意識の問題では解決しません。 被害を防ぐために、高額のコストを負担するかどうかが条件です。 しかしそれ以上に重大なことは、第二点。今朝も三笠パークで見ましたが、一歳児を抱えた母猿が産まれたばかりの子サルに授乳していました。山奥のサルは通常一年おきに出産するそうですが、エサの豊富な軽井沢の里に生きるサルでは、年子を産む事があるというのは事実です。軽井沢の群れでは毎年20頭ぐらいは産まれますので、死亡する数を引いても、現状を維持しながら共棲するには、毎年一定数のサルを間引かなければなりません。それを怠ると、ぎりぎり飽和状態の群れは分裂し、被害防除コストは2倍にふくれます。 第三に、現状でも群れが何らかのきっかけで分裂する可能性があり、軽井沢の里の自然に及ぼす群れの影響を考えると、100頭近いサルというのは多すぎると思われます。一頭ずつなわばりを持って暮らすカモシカや広範囲を移動するクマに較べて、サルやシカやイノブタは生態系に対する攪乱度が強いと思われます。 いずれにせよ、里山や街中での共棲を考えるのなら、個体数の調整は不可欠です。皆さんのお考えの中に、この視点が欠けていることはなぜなのでしょうか? 現状の遊動域でサルと共棲するというなら、個体数を半分以下にするというような、「適正個体数」を算定することが必要かもしれません。 [個体数調整と自然淘汰について] Nさんが、サルを山に追い上げ、時にはエサも与え・・・というような発言をされていましたが、私は基本的にはかなりの数が大雪などで餓死しても、エサはやるべき ではないと思います。エサを与えれば、遅かれ早かれ自然の状態で暮らせる個体数より増えすぎてしまい、人為的に頭数調整せざるを得なくなります。個体数調整にしろ有害駆除にしろ、強い個体を駆除する傾向が出ます。エサ不足による餓死は弱い個体が犠牲になります。自然淘汰は優良な形質の遺伝子を残し、その種の健全な保全につながりますが、人為的調整では逆に強い形質をなくしてしまうこともあります。冷たいようですが、厳しい自然の中で生き残ることが、野生動物にとって大切なことでしょう。軽井沢の標高は生き残り不可能なほど高いとは思いませんし。積雪量もそれほど深くはありません。生き残れないほど厳しい自然であれば、その場所はその動物の本来の生息域ではないというだけのことです。 退会するにあたって 今後、サル問題に関して、情報交換・意見交換など私でよければ、あくまで個人の責 任において応じていきたいと思います。電話・手紙・メール・会合等、何でもかまいません。野外行動などでも、何かお役に立ちますようなら、どうぞお声をかけてくだ さい。 以上 T.M.
by k-saru-net
| 2005-05-13 21:17
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![]() 広く豊かな自然がありながら、市街地や農地を荒し回る軽井沢のニホンザル。人間とサルの望ましい関係を、観察と対策の実践の中から模索する人々のネットワークをめざしています。 by k-saru-net カテゴリ
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